企業で働いていると、「衛生委員会」という言葉を聞いたことがある方も多いはずです。
普段は健康経営に関する情報発信や企業支援を行っていますが、実は今年から、一会社員として衛生委員会の委員にもなりました。
毎月1回開催され、健康や安全に関するテーマについて話し合いが行われています。
ただ、委員になって最初に感じたのは、「そもそも衛生委員会って何のためにあるんだろう?」という素朴な疑問でした。
衛生委員会の設置・開催は法律で定められた義務
実は、常時50人以上の労働者がいる事業場では、労働安全衛生法に基づき衛生委員会の設置が義務付けられています。
委員会で扱うテーマは、
- 健康診断
- 長時間労働
- メンタルヘルス
- 感染症対策
- 熱中症対策
など多岐にわたります。
つまり、「やった方がいいからやる」ではなく、「法律で定められているからやる」
という側面が強くあります。
開催することが目的になっていないか|衛生委員会が形骸化する構造
委員になって感じたのは、多くの企業で、
- 委員会を開催する
- 議事録を作成する
- 社員へ周知する
という流れは、しっかり回っているということです。
一方で、気になるのが「社員に届いているか」という部分です。
例えば、
- 熱中症対策のお知らせ
- メンタルヘルスに関する情報
- 健康診断受診の呼びかけ
これらは配信されていても、実際に読まれているのか、行動につながっているのかまでは、確認していない企業が多いのではないでしょうか。
なぜ届かないのか。理由はおそらく一つではありません。(この点は「健康施策の参加率が上がらない理由:見落としがちな3つの原因と担当者にできる対策」でも詳しく触れています)。
- 情報が多すぎて埋もれている
- 「自分ごと」として捉えられていない
- 伝え方自体が事務的で、読む気になれない
- そもそも「読む必要性」を感じていない
正直に言うと、健康経営の発信をしている私自身も、委員会からのお知らせが来て、すぐに開かず後回しにしてしまうことがあります。
「読まなきゃ」「読んだ方がいい」と思えなければ、どんなに丁寧に作られたお知らせでも、後回しにされてしまう。これは担当者側の努力不足というより、そもそも「読む理由」が伝わっていない、という構造の問題なのかもしれません。
こうした要因が重なって、「配信した」で満足してしまう構造ができているように思います。
法律上の「周知」で問題なくても、目的は達成できているのか
法令対応としては、委員会を開催し、記録を残すことが重要です。ここは揺るがない前提です。
ただ、本来の目的は「従業員の健康や安全を守ること」のはずです。
社員に届いていなければ、形式としては成立していても、本来の目的は十分に果たせていない可能性があります。
健康経営とも共通する”浸透”の課題
私は健康経営に関する情報発信も行っていますが、ここには共通点があります。
健康経営でも、施策を実施した、研修を行った、情報を配信した、だけでは不十分です。
大切なのは「従業員に伝わったか」「行動が変わったか」。
衛生委員会も、同じ構造の課題を抱えているのだと思います。
衛生委員会は「周知」で終わるか、「浸透」を目指すか
正直なところ、私自身まだ答えは持っていません。
ただ、誤解のないように言うと、「周知で十分なのか、浸透まで目指すべきなのか」で迷っているわけではありません。
本来あるべき姿を考えれば、答えは浸透までだと思っています。社員のための取り組みである以上、届いただけで終わらせていい理由はないはずです。
見えていないのは、そこに向かう方法です。
浸透まで求めるとなると、担当者の負荷はどうしても増えます。ただでさえ、開催・議事録・周知だけでも手一杯という声もある中で、「もっとやってください」と言うのは簡単ですが、それでは続きません。
担当者に無理を強いることなく、理想の状態に近づけていく方法。ここの正解が、まだ見えていないのです。(負荷を増やさない運営の考え方については「健康経営担当者の負担を減らすには?兼務でも回せる運営の考え方」もあわせてどうぞ)。
次回は、「周知」から一歩進んで「浸透」に近づくために、どんな工夫ができるのか、もう少し具体的に考えてみたいと思います。
まずは、「衛生委員会は開催するだけでいいのだろうか?」という素朴な疑問から、考え始めてみました。
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