健康経営、何から始める?「考えといて」と言われた日
ある日突然、上司からこう言われました。
「うちも健康経営、考えといてくれる?登り方、ちょっとまとめてみてよ。」
健康経営という言葉は聞いたことがある。でも、正直なところ「何をすればいいのか」はさっぱり分かりません。
頭の中をよぎるのは、こんな疑問です。
「健康経営って、結局何をすればいいの?」 「お金、かかるんじゃないの?うちにそんな予算ないけど…」 「無料でできることだけでも、なんとかなるの?」
そして何より、「とにかく何か考えて、上司に報告しなくちゃ」という焦りだけが先に立ちます。
もしあなたも同じような状況なら、安心してください。この記事は、まさにそんな「何から手をつければいいか分からない」担当者のために書きました。お金をかけずに、今日から始められる第一歩を一緒に整理していきましょう。
そもそも「健康経営の施策」とは?何がカウントされるのか
健康経営と聞くと、何か新しく大がかりな取り組みを始めなければいけない気がしてしまいます。でも実は、すでに会社でやっていることの中にも、健康経営の施策としてカウントされるものがたくさんあります。
例えば、こんなものです。
- 健康診断の実施・受診勧奨
- ストレスチェックの実施
- 社内での健康情報の発信(ポスター、社内メール、社内報など)
- 運動を促す取り組み(階段利用の呼びかけ、ラジオ体操など)
- 食生活への働きかけ(社員食堂のメニュー表示など)
- 禁煙・分煙の取り組み
- 働き方・休み方の改善(有給取得の促進など)
- メンタルヘルスケアの体制づくり
「え、これも健康経営の施策になるの?」と思われたものもあるのではないでしょうか。
健康診断は法律で義務づけられているからやっている、という会社がほとんどだと思います。でも、それを「健康経営の取り組みのひとつ」として位置づけ直すだけで、すでに第一歩を踏み出していることになります。
つまり、ゼロから何かを始めるというより、「すでにあるものを健康経営の文脈で捉え直す」ことが最初の一歩なのです。
なお、無料施策だけでなく予算全体の使い方や優先順位まで含めて考えたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

健康経営はお金がかかる?実は無料でできることも多い
「健康経営=お金がかかる」というイメージを持っている方は少なくありません。健康管理システムを導入したり、外部の専門家に依頼したり…そういった事例を目にすると、なおさら不安になりますよね。
でも、健康経営優良法人の認定取得を目指す上で、最初から大きな投資が必要なわけではありません。
先ほど挙げた取り組みの多くは、すでに社内にある仕組みや、ちょっとした声かけ・周知活動だけで実施できます。健康経営優良法人認定の申請自体にも、特別な費用はかかりません。
まずは「今あるものを活かして、無料でできることから始める」。これが、予算のない担当者にとって現実的な第一歩です。
健康経営、無料でできる施策一覧【今日からできる順】
ここでは、特別な予算がなくても今日から着手できる施策を、取り組みやすい順にご紹介します。
1. 社内での周知・声かけ
- 健康診断の受診を促すお知らせを社内メールや掲示板で発信する
- 階段利用や軽い運動を呼びかけるポスターを掲示する
- 朝礼や社内チャットで、健康に関する小さな情報を発信する
道具も予算も必要なく、今日からすぐに始められます。
2. 既存の制度・データを見直す
- 健康診断の受診率を確認し、未受診者に声をかける
- ストレスチェックの結果を、個人だけでなく組織課題として見直す
- 有給休暇の取得状況を確認し、取得しやすい雰囲気づくりを意識する
すでにある情報を「健康経営の視点」で見直すだけでも、立派な取り組みになります。
3. 外部の無料リソースを活用する
ゼロから資料を作らなくても、すでに無料で使えるものがいくつもあります。具体的にどこにあるのか、迷わないようにまとめました。
厚生労働省の啓発ツールを使う
厚生労働省関連の「スマート・ライフ・プロジェクト」というサイトでは、食生活チェックツールや禁煙・受動喫煙防止のロゴマーク、睡眠に関する資料などを無料でダウンロードできます。「スマート・ライフ・プロジェクト」で検索すると見つかります。
協会けんぽの「健康企業宣言」を活用する
中小企業の多くが加入している協会けんぽでは、「健康企業宣言」という制度があります。エントリーすると、健康づくりに使えるポスターなどのツールやエクササイズDVDが無料で配布されます。
さらに、中小規模法人で健康経営優良法人の認定を目指す場合、実はこの健康企業宣言(と銀の認定)を受けていることが申請の前提条件になっています。つまり無料施策であると同時に、認定取得に向けてほぼ必須のステップでもあります。申し込み方法は支部によって異なるので、「協会けんぽ 健康企業宣言 (お住まいの都道府県)」で検索して、加入している支部のページを確認してみてください。
加入している健康保険組合のコンテンツを確認する
協会けんぽ以外の健康保険組合に加入している場合も、組合によっては健診受診率向上のポスターや、禁煙・食生活改善の啓発資料、ストレスケア講座の資料などを提供していることがあります。すべての組合が提供しているわけではないので、まずは自社が加入している健康保険組合のホームページを確認するか、組合に問い合わせてみるのが確実です。
自治体の健康づくり情報を活用する
会社が所在する自治体でも、健康づくりに関する無料のパンフレットやセミナー情報を提供していることがあります。「(自治体名) 健康経営」「(自治体名) 健康づくり 企業」などで検索すると、その自治体ならではの支援策が見つかることがあります。
これだけでも、上司への健康経営の報告は十分作れる
ここまでの内容を整理するだけで、上司への報告に必要な材料はそろいます。
- 健康経営の施策として、すでに社内で実施しているものを洗い出した
- そのうえで、追加で無料でできる取り組みをいくつか提案する
- まずは小さく始めて、状況を見ながら次のステップを検討する
「何も分からない状態」から「現状把握+次の一歩の提案」まで進められれば、最初の報告としては十分な内容です。完璧な計画である必要はありません。
まとめ:次の一歩は「続けられる仕組み」
今回は、健康経営を任されたばかりの担当者が、お金をかけずに踏み出せる最初の一歩について整理しました。
ただ、無料施策には一つ気をつけたいポイントがあります。それは「やったこと」が記録に残りにくく、「やりっぱなし」になりやすいことです。ポスターを貼った、メールを送った、それ自体は良い取り組みですが、「どれくらいの人に届いたか」「実際に行動が変わったか」までは見えにくいのが実情です。
健康経営優良法人の認定では、取り組みの実施だけでなく、その効果を振り返り改善していく姿勢も評価されます。最初の一歩を踏み出したら、次は「どう続けるか」「どう記録するか」が課題になってきます。
その続けやすさの工夫については、また別の記事でお伝えしていきます。まずは今日できることから、ひとつずつ始めてみてください。
なお、兼務で健康経営を担当していて「これ以上手が回らない」と感じている方は、こちらの記事も参考になると思います。


